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 ブータン・チベット衣装展 

 ブータンの民族衣装を詳しく知りたくて「ヤクランド」(ブータンゆっくり勉強会)を主宰されている久保淳子さんを訪ね、会員になったのは2004年のことでした。以来20年近くかけて集めることができたコレクションは充分ではないのですが、この度、長年憧れていたブロクバ族の男女衣装を寄贈していただき今月の企画が実現しました。多くの方にご来場いただけると幸いです

 2023年3月18日よりネットギャラリーにて公開 

GALLERY 

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 ブータンとの出会いはまだヤクランド会員になる前のこと、川越駅の下りホームで電車を待っていた時に上りホームにブータンの青年のグループが入場されてきて、民族衣装のその姿がなんとも高貴で高潔な様子で胸がときめきました。すぐに入線してきた列車に乗られるまでの一瞬でしたが、それはそれは強く印象づけられ忘れられません。その後、久保さんからシーツほどもある一枚の布をエレガントに巻き付けるキラの着付けを教えていただきブータン衣装に一層、親しみを感じています。

 「ヤクランド」の会報はブータンの貴重な情報源、特に民族衣装やテキスタイルを理解するのにとても役立っています。また久保さんの展示会では華やかな片面縫い取り織の「キシュタラ」(白地のキラ)「ノシェム」(青地のキラ)を実際に見せていただき、ブータン染織に魅了されて収集するようになりました。一方、ブータン南東部の辺境地に暮らすブロクパの衣装を知ったのは「ゴ」と「キラ」を手に入れてしばらくしてからでした。お茶の水のギャラリーTEORIYAでの久保さんの展示会のときに男性用の衣装を実際に着せていただき、この衣装の重さと意表を突く帽子や携帯座布団に驚きました。その際に撮影してもらったギャラリー主の多田米子さんとの写真は記念の一枚、私の宝物です。この時はヤクの毛で作られた雨樋の帽子を手にいれて大満足でした。帰路の電車のなかで「帽子は初めの一歩、いつか衣装を呼びよせて」と呪文を唱えたのですがまさか寄贈というかたちでコレクションに迎えることができるとは光栄なことでした。久保さん誠にありがとうございました。

ブータン・チベットの染織技法

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 ブータン東部のラディ地方で織られた「ルンセルマ」の表側。家の周りで栽培されたリュウキュウアイ(藍色)、ウコン(黄色)を用いてブラ(エリ蚕という種類の野蚕の繭)を染めて経浮織りされたものです。

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​チャクスイパンケップの表側、高貴な人のタオル・膝掛けとして用いられたもの。吉祥紋が緯浮き織・両面縫い取り織りでほどこされる。

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 キシュタラのキラの表側、キラは女性用の巻衣でブータンを代表する民族衣装です。特に白地に片面縫取織りをほどこしたキラは貴族の衣装でした。緯糸とは別に色糸で模様を織り込むので大変手間がかかる織物です。

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ブムタン地方の「ヤタ」と呼ばれる綾織の毛織物の表側、長さ3mほどのヤタを裁ち二枚あるいは三枚継ぎ合わせて敷物や雨具(チャカップ)として羽織ります。

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 インド・ジャンムーカシュミール州南部のラダック、ザンスカール地方に暮らすチベット族の肩掛けドゥールの表側です。丸に十字紋は、古来よりのチベットの伝統絞りで日本では蒙古絞りとして知られています。

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 「ルンセルマ」の裏側。色の配色によって布の名前がつけられています。人によって呼び方が違うので完全に統一されてはいないそうです。

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​チャクスイパンケップの裏側、東部地方の各地で織られていて特定の産地や村はないそうです。ブータン独自で発展した織り方というより、ミャンマーやタイあたりから伝播したものか?

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 キシュタラのキラの裏側、模様が見えるのは表側だけ、裏側には模様糸の糸端がみられるだけです。

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「ヤタ」の裏側、ブムタン地方は標高が2600mの高地で寒冷です。かつては、ウールの生産が盛んで羊の毛をスピンドルで紡ぎながら歩く女性の姿をよく見かけたそうです。

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 肩掛けドゥールの裏側、手紡ぎのヤクウールを細幅で綾地に織り、黄・臙脂・藍・焦げ茶の天然染料により色・文様を染めています。

​参考資料 ブータンの染織紹介 ヤクランド

 

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