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 メキシコの民族衣装展 

 今月は娘の住むメキシコを訪ね、メキシコシティ、モンテレイ、プエブラの三都市に行きました。私のラテンアメリカ衣装はグアテマラ、ペルーのものからはじまりメキシコのコレクションは最近になって集め始めましたので点数は限られます。幸い旅行中にはこれらの都市にいる先住民族に出会ったり、都市の博物館では各地の衣装を拝観、撮影ができたのでそれらを含めて今回の企画となりました。ご高覧いただけると幸いです

 2023年6月1日よりネットギャラリーにて公開 

GALLERY 

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  メキシコの染織については「世界の染め・織りの見かた​」(道明三保子監修・東京美術)に次のように概観されています「56 の言語に分かれた 先住民族が 住むという メキシコには 、農村部を中心に固有の染織文化が見られる。 ユカタン半島周辺に 居住する マヤ民族の他 、メキシコ中央高地を中心に 強大な帝国を築いた アステカ族の末裔 、そして ミステカ文明の伝統を継承するミシュテカ族。 彼らは スペインの征服以来 西洋文明の影響を受けつつも 村への帰属意識とも見られる 微妙に異なる伝承の布を織る。 染織の中心は 綴織、縫取織、浮織、二重織などの織文化 。そして後帯機を使って織上げる これら 伝承の布は女性だけが受け継ぐ。 グアテマラと同じく 高機を使って織られる 近代的な織りは男性の仕事だ。​」今回の企画を通して古代メキシコ文明からの伝統衣装が民族固有の変容と創造を経て培われた多様な衣装の存在を知ることができました。引き続きメキシコを中心にラテンアメリカの染織をたずねてみたいと思っています。今回の旅では拝観できなかった絣織や貝紫の染色品、先住民族の刺繍技法とモチーフの意味など次の旅の課題を見定めているところです。

メキシコの染織技法

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 アグアスカリエンテススタイルのサラッペ(男性用肩掛け)はオンブレ(ぼかし染め)ウールを高機で織りあげた横縞のグラデーションが美しく、中央のつづれ織り模様にもオンブレ糸が効果的に使われています。

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​ オアハカ州のサンビセンテ村の幾何学文様のウイピールの

刺繍は赤をベースに細かなクロスステッチがほどこされ、緑色のアクセントカラーが効果的なまるで織物のように緻密な出来栄えに驚かされます。

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 チアバス州 サンアンドレス・ララインサル村、 ツォツィル・マヤ族の織布(刺繍布かもしれません)はグアテマラ高地のマヤ所属との共通性を感じています。

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 アムズコ族の多くはゲレロ州に暮らしているがこの3枚パネルのウイピール(貫頭衣)はオアハカ州のもので、白の木綿の平織地に赤茶色の綿糸でジグザグ模様の縫取り織がされています。

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​ 2枚の長方形の毛織布を組み合わせて毛糸で綴じ合わせたオトミ族のポンチョ(ケチュケミトル)です。白地に八角の星(花)のモチーフがクロスステッチで力強く描かれています。

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 オアハカ州テワンテペックのサポテコ族の晴れ着、黒いベルベット地のウイピールとスカートに大胆な花柄の手刺繍が施され、西欧の影響を強く受けています。

​参考資料 

「メキシコの民族と衣裳」稲村哲也 紫紅社

「メキシコの織」クロエ・セイヤー  fabric folios

「メキシコの刺繍」小澤典代 誠文堂新光社

 

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