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 今月はアフリカの民族衣装展を2013年以来8年ぶりに企画しました。この間にアフリカンアートと称賛されるような衣装を一点また一点とコレクションに迎えることができ、先回に比べて格段の差を感じています。人類誕生の地アフリカには多様で多彩な染織文化が育まれ感動と驚きは尽きることがありません。準備中はサファリツアーで40年前に観た雄大な自然、動物たちのワイルドライフとその美しい姿、現地での交流など懐かしく思い出していました。アフリカの衣装から発散されるパワーをいただき、ゆったりとした時がギャラリーに流れています。ご高覧いただければ幸いです。2021年5月1日よりネットギャラリーにて公開いたします

 アフリカの民族衣装展 

GALLERY 

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 ナイジェリア、ガーナをはじめとするギニア湾沿岸諸国では非常に細い織幅の織物を接ぎ合わせた巻衣や貫頭衣がみられる。これらの地域では織ることは神から授かった技術であり、織機は神聖な道具とされ男性の専業とされる。このため女性は「織り」をとりまくすべての作業から遠ざけられる。こうした織物に関するタブーが独自の技術を保持してきた。織機の幅は狭く、組み立てが簡単で野外での作業に適する。織り幅は一般に約10cmから20cmで、部族によっては3cm未満のものもある。織幅に対して経糸は極めて長く数10mを超えるものもある。「世界の伝統服飾」文化出版局より抜粋

    さて今月展示中のトプあるいはブブと呼ばれるとても大きなローブはナイジェリア、ハウサ族の身分の高い男性が着用したものです。8cm程に細長く織った布を何枚も接ぎ合わせ、総裄280cmの巨大な貫頭衣に仕立てられています。左胸には2本のナイフ、右肩と背中にはタンバリ(王の太鼓)など伝統的な柄が男性刺繍職人によって嵩高く施されています。19世紀初頭にイスラム教の導師がこの地を征服したためイスラムの影響を受けたデザイン様式の手間隙のかかった衣装です。

伝統衣装の染織技法

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 モロッコ、ベルベル族の「ジェラバ」は白とイカ墨で染色したセピア色のたて縞の毛織物で仕立てられた男性用長裾寛衣、砂漠乾燥地帯の遊牧生活に適しています。

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コンゴ、クバ・ブショング族のラフィアの女性用巻きスカート「ンチャク」、砧打ちで柔らかくした生成りのラフィア布を二枚重ねて黒く染めたラフィア糸で二重の輪郭線を刺したものです。439×90

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 ガーナ、アシャンテ族「ケンテクロス」は男たちが傾斜機で織る細幅の布を縫い合わせて一枚の大きな布にしたもので肩から足首までを包む衣装として用いられます。170×114

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ナイジェリア、ヨルバ族、木綿の10cmほどの細幅織布10枚をはぎ合わせた経縞・縦絣の布で現地では体に巻き付けて着用されているそうです。(108×171)

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 マリ、バマナ族の泥染「ボゴランフィニ」は鉄分の多い川の泥を一年以上熟成させ、筆やブラシで手書きしたもので、その後脱色用のピーナッツを塗りさらに日に晒し白ぬき模様を仕上ます。手間隙のかかった染織布です。110×196(7枚パネル)

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 コンゴ、クバ族のラフィアスカートは菱形と水玉のステッチ刺繍された布片を市松に、加えて四辺の縁取りは縫い絞りの模様布でパッチワークされています。97.5×36

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 ナイジェリア、ハウサ族ヨルバ族イボ族の絞り藍染「アディレ・オニコ」は、ラフィア糸で模様を縫い絞り防染します。加えて布から防染糸を抜いた後に砧打ちをして光沢を出しているのが本作品の特徴です。 182×160(2枚パネル)

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マリ、フルベ族の羊・山羊の毛織布「カーサ」に織り込まれた四角と三角の組み合わせ模様「ビジルガル」は多産を象徴していて、夜の寒さや蚊の襲来から身を護る役割をしています。格の高い織物として他部族からの注文を受ける交易品でもあります。 132×238(6枚パネル)

 

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