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​東の赤、西の藍染め衣装展

 春の光をうけて梅や桜の開花から新緑へと変化するこの季節を迎えることができて嬉しいことです。
 今月の企画は赤と藍の染め物に注目してその起源とされるインド(インダス)の東側地域の赤い衣装と西側地域の藍の衣装の魅力に迫りたいと準備しました。人類はなんと豊かで多様な染織品を作り、交易してきたことかと感動する日々でもありました。お楽しみいただければ幸いです。

 2025年3月15日よりネットギャラリーにて公開 

GALLERY 

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​東の赤染め、西の藍染め

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シリアの水車の町ハマで制作された綿藍染の三角袖のドレスです。周辺には中東最大級のスーク(市場)のあるアレッポ、貝紫染で有名だったフェニキアのティルなどの港町があり古代から東西交易の要衝でした。南部トルコのウルファの町近くには染色に欠かせない媒染剤となる明礬石の鉱脈がありました。

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カンボジア南部で手掛けられた絹絞り染め布“キエト(kiet)です。精錬糸の平織り地に、巻き締めと縫い絞め染めにより鋸歯文様とナーガ(蛇龍神)文様が表現されたクメール仏教様式の儀礼用布だったものと説明を受けています。

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ナイジェリアの西部ヨルバ族の矢絣の藍染の巻衣装です。この地の藍染や絣の技法はアラビア半島を経てイスラム教徒の手によって伝わったと言われています。とても美しく注目しています。
 

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トルコのプルサの市場で入手されたものです。後にアナトリア高原の古都マラティヤ(MALATYA)、アディヤマンで制作・着用された前掛けであるとの説明をうけました。トルコのローケツ藍染の前掛けは珍しく、17世紀、インドグジャラートで染色を習得したアルメニア人がこの地に移住してこのような更紗を作ったとも考えられるとの資料をいただき興味深く思っています。

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ガーナ、アシャンティ族の男性が傾斜機をつかって織り上げた10cmにも満たない細巾の布(23枚)を縫い合わせたものです。かつては王族のためだけに織られていたとのことです。一般人が着ていた藍と白の綿布に絹を用いたり、模様を複雑にさせたりして発展したものと言われています。

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北スマトラのアチェの古い絹経絣の女性用ヴェールです。 バタック族の綿の肩掛け布(ウロス)に良く似た矢絣模様のものがありますがこちらの糸は絹で白い縞の矢絣の部分が経年のため分解欠落して緯糸だけが残っています。​

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ペルシャ向けにマスリパタムで製作された18世紀に遡る風呂敷・袱紗(ボクチェ)と教えてもらいました。木版捺染でペイズリーの連続文様、背景の地は明礬が塗られ茜浸染(媒染)により紅赤に染め上げられ、文様の線描きには鉄漿が塗られ焦げ茶に発色、瑞々しい藍は描き染めの手法で色づけされたものです。数百年の時を経て色落ちしない色彩はまさにインド秘伝のものです。
 

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台湾先住民のタイヤル族の伝統的な男性用の上衣(後ろ身頃)です。腰巻き、褌、袈裟衣、肩掛け、胸当て、頭巾、脚絆はいずれも30㎝ほどの織り布の布幅を活かした構成になっています。材料は主に苧麻で、木綿や毛糸は漢族と同化した平地住民から入手していましたが、とくに入手が難しい毛糸は古くは毛織り布をほぐして織糸としたもので装飾部分に効果的に使用されています。​

 参考資料

「AFRICAN TEXTILES] 京都国立近代美術館

​「世界の藍」文化学園服飾博物館

 

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