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「今月のすぺーすくじら」はチュニジアを主に北アフリカの衣装を展示しております。昨年末より素晴らしいマグレブの伝統衣装を引き継がせていただき今回の企画となりました。この地域の衣装を長い間探し求めていましたが、コレクションの機会がなかった地域でした。準備中は衣装の組み合わせや着付け方など理解できないことが多々ありましたが、この地の衣装に詳しい佐々木紀子さんからの貴重なアドバイスに導かれて大きな一歩を踏み出すことができました。ご高覧いただければ幸いです。

北アフリカの民族衣装展

2022年3月1日よりネットギャラリーにて公開

GALLERY 

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〝果て”には見えないものを思いふくらませるなにかがある。日本がファーイースト『日の出る国」と呼ばれるように、マグレブ『日の沈む地』が北アフリカ(チュニジア アルジェリア モロッコ)の別名だ。遥か最西の国へと私の旅心はさそわれ、チュニジア モロッコへ何度か通うことになった。ここまで来るとインドの風が届いていないのだ。絣、木版捺染、更紗の類は全くないと言ってよく、わずか素朴なウールの絞り染めはある。むしろ、織物、刺繍には独特のものがあって、私のそれまで歩いて来たインド以西の国々とは、まったく異趣の織りの紋様、刺繍のステッチや、装飾の有り様に目が凝らされた。その国の持つそれぞれの伝統的とか、民族的模様は存在しているのだが、織物には、建築物同様にスペインのそれもイスパーノ・モーレスクと呼ばれる様式の影響を長く受けてきたことを北アフリカの国々に入ってみて良く頷かされた。

佐々木紀子氏「西の風 東の風のゆきかうところ第11回」月刊染織αより

 マグレブの染織模様

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カーネーションは南欧や西アジアの地中海沿岸が原産でイスラム諸国では古くから好まれていた。花が整然と並ぶ様子は、イスラムの様式を感じさせる

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櫛は頭部に用いることから様々な地域で神聖なものと捉えられ、呪術的な意味が込められている。鋭く尖った歯が何本もある櫛は魔よけや邪視よけの役がある。​

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沢山の卵を産む魚は子孫繁栄のシンボル、特に口を上に向けたものがよいとされる。乾燥地帯に生きる民族にとって水の中に暮らす魚は縁起がよいと言われる。

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フェズの工房で織られるミフラーブはモーレスク(ムーア人風)と呼ばれる、放射状の幾何学模様はイスラム寺院のモザイクタイルのデザインに似る

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輪状の三日月の中央に星が配された文様。三日月と星はイスラムのシンボルともいえる文様で、三日月は進歩や発展、星は知識を意味するといわれている

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糸杉は古代より神木とされ繁栄のシンボルであると共に先の尖った形状は邪悪なものから身を護るように大切な部位や目のとどかない部分に配される。​

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婚礼用のベールには三種類の動物模様が配されている。毒をもち人に危害を加えるサソリには警戒や恐怖、自由に空を飛ぶ鳥には憧れ、多産の魚には繁栄の願いが込められる

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ムハンマドの娘で理想の女性と言われているファーティマの5本の指を示すファーティマの手の模様はアラビア語で5を示す「ハムサ」とも呼ばれ魔除けの模様として広く用いられる

参考資料「世界の服飾文様図鑑」文化学園服飾博物館編著

 

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